2013年11月27日水曜日

身ぐるみを剥ぐ


京の雑踏には様々に着飾った人々が往来している。彼らは、そして私も、コスチュームによって対外的自己を規定しようとしている。

そんな人々から、想像で衣服を取り除いてしまう。するとどうか。さっきまでとは全く違う基準を持って人々が分けられる。年齢、体格。

そこでは、社会的身分という文化的要素が消え去り、基準が動物的になる。ここで最も美しさを放つのは若者である。

さらに、彼らから皮膚をも取り去ってしまう。そこには血管や臓器や筋肉がせわしなく動いている。こうなると、もはや個も見えなくなる。同じ器官の集合体が往来している。せいぜい男女の区別が付くくらいだ。

何という光景だろう。右も左も後ろも前も、みんな同じ構造をしている。同じ構造が、皮膚で個を分け、服で身分を分けている。


そんな風に、ときおり密かに人々から身ぐるみを剥いでいる。