人間の下あごから頚の付け根の部分まで、皮膚のすぐ下に薄いシート状の筋肉が覆っている。筋肉と言うと、腕や足を動かすためにあるように思われるが、これはちょっと変わっていて、頚周りの皮膚をうごかすためにある。と言って「頚の皮を動かして」と聞かれてもできない。やり方としては、口を「イー」と思い切り横に広げるようにすると、頚の皮があごの方に引っ張られる感じがするだろうが、それが頚の皮膚が動いたということだ。広く頚を覆っているので、「広頚筋」という。
頚の皮膚を引っ張ってどうしようというのかよくわからない。だが、これが無くてはやっていられない動物もいる。牧場などに行って、牛や馬を間近で見るとわかるが、彼らは常に脇腹や尻あたりの皮膚をブルブルと痙攣させている。あれでハエなどの煩わしい虫を追い払っているのだ。猫も、寝ているところを毛を一本引っ張るとその周りの皮膚をブルッとさせる。この、全身の皮膚をびくつかせる筋肉と、人間の広頚筋は実は同じなのだ。ただ、人間は頚の付け根から上だけが「残った」。かつて人間が頻繁に水中に潜り、頚から上だけ水面から出していたなら、ハエや蚊などの煩わしい虫はその部分を狙いにくる。手足は水中だから、どうやってそれをはらおうか。皮膚を動かす筋肉は、人においてなぜ頚だけに残ったのか。アクア説に乗せると面白いように説明が付くように見える
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