10月20日(日)に新宿美術学院にて、美大受験生を対象とした特別講座を開催します。
本講座は上肢に的を絞った内容となります。上肢と手の構造的な理解を深めることで、その表現にもより説得力を与えることが可能です。
上肢とは、つまりは腕と手のことです。それを上肢と呼ぶのには訳があります。腕といえば、「胴体の肩から先で棒状に飛び出て尖端は手の指で終わる身体部位」と言い表せますが、上肢はそれだけではないのです。上肢は腕の付け根の肩から首周り、さらには上半身の表面のほとんどの領域まで含まれます。これはつまり、それらが全て腕の運動と関係を持ち、その姿勢と共に形状が変化しうることを意味しています。すなわち、胴と腕の関係性は、肩で部品が連結された人形とは全く異なるものなのです。人体観察と表現において、この上肢領域の正しい把握はとても大事です。
また、肘から手までの間には、人体ではここにしかない特殊な捻れ運動があり、それが私たちの手の多用な運動を生み出しています。そして手首の先には平たい手のひらがあり、そこから末端へ細い5本の骨っぽい棒-つまり指-が生えているわけです。しかし、手のひらの中には実は指がもう一関節分埋もれています。その埋もれた指と関節の動きによって、手はより複雑な”姿勢”を取ることができるのです。
これまで慣れ親しんだ「手」、「指」という概念的見方はひとまず脇に置きましょう。構造から見なおし、新鮮な目で自らの手を再発見しましょう。
さらに手は、顔と並んで意思伝達と感情表現の重要な部位でもあります。私たちは、手と指のありよう-ジェスチャー-から、様々な心情を読み取ることができます。当然それは、視覚芸術においても重要な要素であり、事実多くの芸術作品の登場人物が手でストーリーを語りかけているのです。
本講座で、上肢と手の形状を捉える目を養います。それはきっとあなたの表現力を押し上げる推進力になるでしょう。
当講座は終了しました。