”ジャケ買い”したアートブック。Susan ciancioloの『The Great Tetrahedral Kite』。
色々なモノを貼り付けたノートブックをそのまま再現したような本。31ページほどしかない薄い物。
こういう落書き的な、雑多としたコラージュものに惹かれてしまう。似た物が他にも色々とあるが、例えばキャプションやページ数などがキレイなフォントで印刷されていたりすると、それだけでもう興ざめだ。日本ものに時々そういうものがある。まったく、整ったフォントの破壊力は恐ろしい。
”雑多コラージュもの”は魅力的だし簡単だから自分でもやってみようかと思うと、なかなかできるものでもない。それに自分で作った物はその作為を”底まで知っている”から、全く面白くもない。知らない誰かの作だからこそ”底が知れない”ので良い。また、切ったり貼ったりした物を再度撮影して平面化するという行為と出来上がって情報が統一された状態が、不思議と心地よいのである。色々な素材を投入して、1つの料理として完成させたようなまとまり感がそこにはある。だからこれは、生のコラージュ作品の単なるコピーというのではなく、これで完成品なのだ。
書店に置いてあるこれをパラパラめくって、もう心を掴まれているわけだが、理性的なもう1人の自分が、これのどこに買うほどの価値があるのだと尋ねてくる。誰かの個人的な満足に過ぎないし、この手の”落書き系アート”なら他にも幾らでもある。それに、惹かれると同時に嫌悪に似た感覚も引き出されるのである。それが何かハッキリとは掴みかねるが、振り返る必要も無い古い記憶の抽斗が開けられるような感覚が近いかもしれぬ。
そんなわけで、考え直して元の場所に戻しては、また手にとってめくることを繰り返して、結局購入した。
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