彫刻は、形態を形態のまま扱う。
形態学は、形態を概念化して扱う。
もっと細かく言うなら、彫刻は形態を概念化して捉えるがそれを最終的には形態へ戻そうとする。いっぽうの形態学は形態を概念化して捉えるまでだ。それは言語で抽象化されて表される。
だから、形態学の一派である解剖学と、芸術の一領域である彫刻とは、似ているけれども全く同じではない。どこが違うのかと言えば、最終的な出力先が違うということになる。しかしそれは小さな違いではない。言語と非言語では、相手に伝わるものが大きく異なる場合があるからだ。この事実は、彫刻という非言語的表現物が何を語ろうとしているのかを考えるヒントになる。私たちは、彫刻から何を感じ取り、何を読み取る事が可能なのか。その事についての客観的な考察や調査が行われたことはあるのだろうか。彫刻は(それ以外の視覚芸術も含めて)どこまで伝達的役割を担っているのか。そのことに入り込むためには、彫刻が伝達することが出来るキャパシティについてまず知らなければならない。私たちは立体から何を得ているのだろう。それは公共的か私的か。気になる。
視覚伝達についての書籍はあるけれど、芸術における伝達は、その範疇を超えるはずで、より広い視点が必要になる予感がする。
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