2009年4月17日金曜日

指差し

11ヶ月の幼児になると、指差しを出来るようになる。この、私たちにとって基本とも思える当然の行為は、しかし、人間以外にする動物はいない。

指差しとは、どういう意味があるのか。手に届く範囲の物を指差すことはない。それは手に取ればいいからだ。指差しによって、手で触れられないものを示す事ができる。棚の上の菓子から、夜空の星から、顕微鏡内の遺伝子まで。

一点を指し示すこと。その時、意識もそこに集中する。幼児が、指差しをするようになったとき、彼の意識には集中するということの芽生えが起きている。


指差しという人間に共通のジェスチャーは、指した方を見よ、という共通認識があるからこそ成り立つことから考えると、人類が集団での統一された行動をしてきた証であるとも言える。例えば、かつて、私たちが狩りをして生きていた頃は、獲物に気づかれぬよう、声を出さずに指差しで方向などを決め合っていたかもしれない。

指差しを始めた幼児は、人間社会への適応をし始めたと言えるだろう。

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