2009年10月21日水曜日

彫刻 根源的芸術

彫刻は、さまざまな芸術表現のなかでも最も根源的なものだと言える。芸術の表現対象は元来は基本的に具象だった。つまり、それは実世界に存在する物である。それを、素材を変えて同じように物として実世界に再現するのが彫刻だと言える。それを、反射光線による色彩のみで捉えて平面的に再現しようとしたのが絵画である。

現代の彫刻は、基本的にそれに彩色を施さない。それは、彫刻が色彩ではなく、実世界に存在する物質としての芸術であることを強調している。色彩は、素材そのものが持っているそれで十分なのだ。実際の自然物がペイントされているのではないことと同列である。

彫刻はあらゆる芸術を包括しているように思える。空間性、バランス、色彩、量感、構造。それは、あらゆる感覚を動員しているとも言い換えられる。彫刻家のように対象を見る目を養うことは、その他の芸術表現にとっても有益だろう。

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